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ナンタケット


「あなたはどうやって旅の目的地を決めるのですか?」という質問をよくされる。
僕の場合、旅先決定への第一歩は地図を眺めることだ。地図を見ると地形がわかる。自分の好みにあった地形かどうか?それから、名前がわかる。名前に魅かれるところに行く。これは真面目な話だ。


その晩、ハイアニスのユースホステルで仲間たちとバーベキューをやりながら、僕は地図で2つの島を比較していた。島の名前はマーサズヴィンヤード島とナンタケット島。
前者は『マーサさんのブドウ畑島』とわかりやすい名前。(まさか、マーサ・スチュワートの所有する島ではないだろうな)さて、後者の「ナンタケット」ってナンだっけっト?(つまらない駄洒落は飲みすぎている証拠だ)僕は「ナンタケット島」の音に魅かれた。
次に地形を見る。島というのは海に囲まれているので地形が一目瞭然だ。ヴィンヤード島は三角形、ナンタケット島はブーメランのような形をしていた。細くくびれた岬、砂州のような海岸線。地形から見てもナンタケット島の方が僕には魅力的に映った。「よし、ナンタケットに行こう」網の上のご馳走がなくなる頃、僕はそう決めた。


次の朝、早速港に向かった。朝食のクラムチャウダーと『ケープコッドタイムズ』を買い込むと早速フェリーに乗る。島まで2時間の船旅。ナンタケットが実は19世紀に重要な捕鯨基地だったということは後で知ったこと。それよりも、僕の旅は「直感」によるところが大きい。理屈はいらない。旅なんてそんなものではないだろうか。


2005年8月記



今日の一枚
”ナンタケットへの船旅” アメリカ・マサチューセッツ州ナンタケット 1992年


1 草原の小さなYHと受付嬢   早速、キフヌマダムたちと御対面




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