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何もかもロシアのせい その3


住民投票に関する追記


引き続き住民投票の様子を現場から伝えるP・ランカスター氏のビデオの部分訳を紹介する。

9月25日

ザポロージャ州のメリトポリでのインタビュー
この州も先のヘルソン同様ウクライナ支持層もいる地域。投票に関しては取材拒否の人も多い。

PL: 昨日から住民投票が始まっていますが、どう思いますか?

女性: 素晴らしいことです。私も投票します。

PL: どちらに?

女性: ロシアにです。

PL: なぜ?

女性: 以前の生活より今(ロシア支配下に入ったここ5か月)の生活の方が好きだからです。

PL: 米国、欧州、ウクライナは、ロシアはこの町の人々の生活を悪化させているだけだと言っていますが?

女性: 悪化なんてとんでもない。ウクライナ政府はモスクワとクリミアをつなぐインフラを分断してはいけません。
彼らは鉄道を分断しました。この町の人々は野菜やサクランボを出荷し収入を得ていたのです。
ウクライナ政府は(鉄道分断によって)市民の生活の糧を奪ったのです。メリトポリだけでは商売になりません。人々は貧困へと落ち始めました。
お金持ちだけです、良い生活ができるのは。一般市民に目をやれば、老人はわずか1800フリブニャの年金でアパート代も払えないのです。 暖房費だけで2000フリブニャ、それに加えガス代などなど。
物価は上かる。なのに給料は上がらない。社会保障もない、それどころかウクライナ政府は社会保障費を削っている。

PL: この町はウクライナ支持派もいればロシア支持派もいる、100%ロシア支持のドンバス地方とは違うという認識ですが?あなたの見解としてこの町のロシアとウクライナ支持層の割合はどのような感じだと思いますか。

女性: わかりません。ただ半数以上はロシア支持だと思います。

PL: 反ロシア親ウクライナの人たちが住民投票に参加することを恐れることをどう思いますか?

女性: 彼らは投票に参加したくないので街を出ていきます。なぜなら彼らはゼレンスキー大統領やフェドロフ副首相の映像を見ているからです。
ゼレンスキーやフェドロフは人々を威嚇し事実を捏造するのです。彼らの目は「美しく、輝き、真実」に満ちています、見せかけのね。

PL: なぜ、親ウクライナの人々は投票に来ないのでしょうか?

女性: ゼレンスキーやフェドロフのニュースを見ているからです。彼らは威嚇をし、メリトポリについて嘘を言っています。ご覧になったことがあるでしょう?
あそこに書かれていることの半分は嘘です。
「彼ら(ロシア)は家に来てマシンガンの銃口を突きつけ(投票を促す)・・」
マシンガンの銃口って何ですか?
いったい誰が誰に(マシンガンを使って)強要をしているというのですか?
「YES」か「NO」を書けばいいじゃないですか。全く難しいことではありません。
たとえあなたが反ロシアだとしても、なぜ「NO」と書くことさえ恐れるのでしょうか?
ウクライナ支持だと書けばいいじゃないですか?ところが彼らは何も書きません。
ただ逃げ出し、遠く離れたところから「地獄の投票」だと揶揄する。

PL: ほかに言いたいことは?世界や欧州、米国はここの状況について何を知るべきですか?

女性: 私たちの現在の生活は平穏です。市民を爆撃する武器をウクライナ政府に提供しないでください。

PL: それは可能ですか?欧州や米国はロシアが市民を攻撃していると言っていますが。

女性: いいえ。ここには他の町から多くの人が非難してきています。例えばマリウポリから。
彼らはウクライナ兵がどのように街に入って来て、どのように彼らをアパートから追い出したかを話してくれます。
ウクライナ軍が街に攻撃を行い人々は逃げたのです。そしてその後何が起こるかは明白です。他の町ではウクライナ軍がウクライナ市民を砲撃しているのです。
そして彼らは全部ロシアの仕業だという。彼らは嘘をついています。ほとんどのニュースは嘘です。
「ザポロージャニュース」を見た方が良いです。彼らは真実を報道していています。

PL: あなたはウクライナ人ですかロシア人ですか?

女性: ロシア人です。祖母がツーラから来ました。


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選挙のスーパーバイザー(立会人)としてドイツから来た男性

男性: 企業の一員としてではなく個人として来ました。
この立ち会いのために休暇を取りました。

ドイツでは政府やメディアが我が社の社長や会社に圧力をかけています。
しかし、会社は私企業なのですからそのプロセスは全く納得いくものではありません。

これは大事なことですが、私がここに来たのはここで起こってることを評価したりやジャッジをするためではありません。
私の役割は選挙に立ち合い、それが公正に行われ、きちんとしたプロセスを踏んでいるかを監査することです。
私は政治家ではありませんから政治的なジャッジを下したくはありません。それは政治家の仕事です。
私はただの立会人です。
投票の後できるだけ早くドイツに帰り、社長の判断を仰ぎたいと思います。

PL: どういういきさつで立ち合い人になったのですか?

男性: ロシア政府に依頼されました。以前、ドゥマの選挙に立ち会ったことがあるので再び招聘されました。

PL: 立会人として見た投票の様子はどうでしたか?良かった点や問題点など。

男性: 私が見たのは投票のほんの一部です。しかし、私が見る限り圧力のようなものはありませんでした。
投票の秘匿も守られているので「反対」なら「反対」にしるしをつけることもできます。
私が予想していなかったのは非常に多くの人が投票に訪れたことです。投票所には長い列ができていました。
もちろん、投票したくないという人には会っていないので知る由もありませんが。
私が会った人々はみな投票したがっていました。

PL: 立ち合いはザポロージャ州だけですか?

男性: ほかの州にも行きます。

PL: (立ち合いの)外国人はあなただけですか?

男性: いいえ。いろいろな国から。ベネズエラや他の南米の国々からも来ています。



9/26 マリウポリからのリポート

戦争で家を失った住民のための無償の団地がロシアによって建設されている。 20棟以上の新しい団地を見たが、街の大部分は破壊されたままになっている。



年配の男性: 私はこの地域の住民です。(焼け焦げた団地群を見渡して)私たちの街で何がおこったかこの風景をご覧になればわかると思います。 ウクライナ軍が何をやったかお判りでしょう。
私はこの投票をずっと待ち焦がれていました。この投票が終わった時、我々はロシア人になれるのです。
私たちは住民投票を喜ばしく思っています。そして私たちの人生に変化と安定した未来をもたらすことを期待します。 すべてはこの町にとって良い方向に進むと思います。それまでは私も我慢します。
しかし、戦争はもう嫌だ。私たちは平穏な日常を送りたいのです。何人とも戦ってはいけない。これが私の意見です。

PL: 情報によれば選挙管理委員が家々を訪問する形での投票が行われているそうですが、すでに投票されましたか?

男性: はい。身の安全を考え自宅で投票しました。投票所へ行かなくて済むのでとても便利です。
投票方法は前回(2014年)とまったく同じです。投票用紙に記入し投票箱に入れるのです。
誰も投票を強制、強要されませんでした。マシンガンを持って立ち会う兵士もいませんでした。個人の選択による投票でした。 (ロシア編入に)賛成の人もいれば「反対」の人もいる。みな個人の意思で投票しています。他に選択肢はありません。どちらの国に住みたいかです。
ウクライナ政府に見放され私たちは住む家さえありません。地下室で暮らしている人もいます。 電気や水道は復旧しましたが、すべてがもとに戻ったわけではありません。近い将来すべてのことが良い方向に向かうことを望んでいます。

PL: 道路の向こうに無残に焼け焦げた団地が見えますが。あの家々についてご説明願いますか?

男性: 建物は完全に破壊されています。修復することは不可能です。いや、この町のすべての住居はもはや修復不可能です。
私の家は焼け残った数少ない住居です。しかし8階と9階は破壊されている。5階と6階も破壊されていますが何とか生活できるレベルです。
道の向こうの焼け焦げた団地の下層階は商店でした。上層階は住宅でした。戦闘中この辺には狙撃兵たちがいました。 しかし、これらの家々は主に(ウクライナ側の)アゾフ連隊によって焼かれました。彼らはもはや抵抗できなくなると家々に火を放ったのです。

PL: マリウポリ市民のロシアとウクライナ支持の割合は何パーセントぐらいだとお考えですか?

男性: マリウポリ市民の70%はロシア人です。それが結論です。若い世代の意見はわかりません。インターネットの世代ですからね。
祖父や父親が戦い、私の叔父たちも戦った、となればどうして私が彼らと別の決断を下せましょう? マリウポリ市民の大半はロシアから来たのです。ブリヤンスクやクルスク、ボルゴグラードから。(ロシア以外の)どこに投票できるでしょうか? マリウポリ市民のルーツ、母国から結論を導き出してください。
ここには仕事があったので人々はマリウポリに来たのです。マリウポリは巨大な産業都市ですからね。 ここがロシアになればさらに多くのロシア人が移り住んでくるでしょう。

私は2014年に戦争が終わって欲しいと心から願っていました。しかし、その願いは叶わなかった。
ついにあの時の願いが叶う時が来たのです。すべてがうまくいくと信じています。
そして私たちはロシアへ帰るのです。


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若い女性

PL: お話を聞かせてもらっても良いですか

女性: はい。こんにちは

PL: 住民投票が始まっていますが。あなたはどのようにお考えですか?投票を済ませているように見受けられますが?

女性: ええ、昨日投票しました。

PL: どのような様子でしたか?

女性: きちんとオーガナイズされていましたよ。

PL: 投票は自宅で?それとも投票所で?

女性: 投票所です。私はマリウポリ市民ではなく、マケフカから来ました。でも、ここで投票できるか聞いたら許可され、申請書に記入し投票しました。 8年間待ち続けやっとこの機会に巡り合えました。

PL: どちらに投票しましたか?

女性: もちろんロシアです。先日、モスクワの世論調査会社から2度電話が来ました。次の日曜日に投票に参加するか?と。
私は「絶対に行きます」と答えました。そして居住地とは違う町にいるのに投票所に行き投票を行えました。

PL: あなたはマケフカから来たわけですよね。あなたがマケフカへ帰って二重投票をできないようにする仕組みはありますか?

女性: 私は知人に会いに来たのです。急いで家に帰って二重投票をする理由もありません。

PL: だから、投票申請をここでしたのですね。

女性: はい。居住地以外で投票可能か尋ねたのです。私がここに来たのは投票2日目、すでに投票は始まっていましたから。
「もちろん可能です」との回答だったので投票の申請を行いました。

PL: というこは、申請用紙は公式文書というわけですね?その申請手続きは?

女性: 手続き?私はただ「居住地以外での投票が可能か?」を聞いただけです。
彼らは「もちろん。でも申請を行わなければいけません」と答え、申請用紙には私の身分証明と、この町に知人を訪問しに来ている旨を記入しました。
申請の後で投票用紙を渡され「YES」にマークし投票箱に入れました。

PL: 他の国の視聴者は投票の公正性に疑問を持っていますが。あなたはどう思いますか?

女性: もちろん公正です。きちんと投票を運営している人たちがいますから。

PL: もし住民投票の結果が「ウクライナに留まる」というものであった場合、あなたにとってなにか問題はありますか?

女性: ないと思いますよ。それがこの町の人々の正直な意思表示ですから。だれも非難されることはありません。
人々は個人の意見を自由に言う権利を持っていますから。だれも強制はできません。すべて自発的なものであるべきです。

PL: どうもありがとう

女性: どういたしまして


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別の女性

PL: こんにちは。住民投票についてお聞かせください。投票しましたか?

女性: はい

PL: ロシアに?ウクライナに?

女性: それは投票の秘匿です

PL: オーケー。わかりました


すでに5日間の住民投票は終わっている。最終日ドネツク市内の投票所からのP・ランカスター氏のリポートはこちら。ドネツクではまだウクライナ軍による攻撃が続き多数の死者がでている。



2022年9月記


今日の一枚
” 回り道 ” ウクライナ・ドネツク 2009年







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