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ポリネシア その1


長らくサモアについて書いて来たがこの辺でまとめに入ろう。2018年に僕はインドネシアのバリ、フローレス、レンバタという島々を周った。東に向けてアイランドホッピングするにつれ徐々に人の顔が変わって行くのが分かった。ジャワ人に代表されるモンゴロイドの顔からニューギニアなどのメラネシアの顔へ。メラネシア人は、遥か昔にアフリカからやってきた人々を祖先に持つオーストラロイドのアボリジニといわば親戚のような関係。この顔の移り変わりは予想したとおりで僕は思わずニンマリしまった。


それでは、太平洋をさらに東に行ったら人の容姿はどう変化して行くのか?僕は「たぶん、肌の色が濃く、はっきりした目鼻立ちの顔が続いて行くんだろうな」と漠然と考えていた。そして今回、南太平洋のサモアという島国に足を踏み入れて驚いた。予想していた顔と全然違うではないか。なんとなく僕のような東アジア人に近いのである。インドネシアでモンゴロイドの顔からメラネシアの顔に変化して行くのを感じ、東に行ったら再びモンゴロイドの特徴が強くなったのである。いや、厳密にはモンゴロイドの顔、インドやメラネシアの顔が複雑に混じった顔だ。
けれども、彼らの体は自分に比べて桁違いにデカい。デカいけど性格はシャイである。サモア人は陽気だと聞いていたけれど、例えば底抜けの明るさと退廃が同居するキューバ人とは全然違う。明るいけれどその奥にナイーブさを持っている。この辺の感性が実にアジア的。


サモアやトンガ、マオリのニュージーランド、さらにはタヒチやイースター島に至るこの地域はポリネシアと呼ばれ、同じような文化、言語、生活習慣を共有している。まあ、西から順番に人が移り住んだからだとおおよそ想像できる。しかし、僕が驚いたのは北に何千キロも離れたハワイとも多くの共通点があること。女性が髪に花を刺す習慣についてはここでも書いた。
実はサモアにもハワイと同じようにアロハシャツがある。僕は勝手にタロファシャツと名付けた。そう、サモア語の「こんにちは」はタロファ。シャツは西洋人が両国に持ち込んだものだろうけれど、アロハとタロファの類似は偶然ではなさそうだ。調べてみると、紀元前にアフリアに始まった海の民の移動はインド洋、南太平洋の島々に達した。その後、南太平洋の人々が北上してハワイに到達したのは10世紀。それまでハワイは人の住まない火山島だったそうだ。



2020年1月記


今日の一枚
” スナップショット ” サモア・アピア 2019年




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