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アフター・ザ・レイン


ジョン・コルトレーンの「アフター・ザ・レイン」という曲が好きだ。晩年は搾り出すような演奏でフリージャズに傾倒していった他のナンバーとは違って非常に美しいメロディーの曲。


さて、アフター・ザ・レインとは文字通り「雨上がり」のことなのだが、改めて自分の写真作品を見返すと「アフター・ザ・レイン」という題名のなんと多いことだろう(笑)
たぶん、雨上がりの雰囲気が好きなのだと思う。雨が降っている間は皆雨宿りをしている。僕もまた、おそらくどこかの軒先でカメラを懐に抱えて雨がやむのを待つ。やがて、水溜りに落ちる水滴が消え去る。と同時に街は再び活気をとりもどす。僕もまた歩きはじめる。世の中どんなに発達しようとも、結局僕らはお天道様まかせ(笑)


雨上がりの感じは季節によっても場所によっても違う。熱帯のスコールの直後は眼鏡もすぐに曇るほど蒸し暑くなるし、寒い地方では底冷えがするほど寒くなったりする。でも、雨上がりに共通するイメージというのはひとつ。それは、汚れたものがすべて洗い流されリフレッシュされるような感じ。心機一転ふたたびスタートを切るような前向きさ。雨の間はちょっと暗くなっていた人々の顔も雨上がりはちょっと違う。水溜りに映った姿も心なしか明るいような気がするのは気のせいだろうか。


コルトレーンのアフター・ザ・レインにはその雨上がりの雰囲気が見事に表現されている。

2010年6月記



今日の一枚
” 雨上がり ” 中国・甘粛省臨夏 2008年




fumikatz osada photographie