<< magazine top >>










カザフスタン人の顔 その2


中央アジアの顔をカザフスタンのソフトウェアだとすれば、それが乗っているハードウェアは保守的でロシア風だ。街並みも、市場も、ビルも、キリル文字の看板も、マルシュルートカ(ミニバス)も地下鉄も列車も・・・そのギャップがかえって僕には新鮮だった。いわゆる「ギャップ萌え」というヤツですか。
多分、アジア系の人々がロシア風のインフラに乗ってる場所なんていくらでもあるのだろう。しかし、自分が訪れたことのあるウクライナやバルト三国といった旧ソ連の国々では、ロシア製のインフラの上には西洋人が乗っていた。


逆に言えば、街の生活には中央アジアのエスニック感はあまり感じられない。なんとなくロシアの一地方都市みたいだ。となれば、本当のカザフスタンは郊外の大自然の中にあるのかもしれない。アルマトイの背後には4000メートル級の山々が連なっている。登山やトレッキングを楽しみたい人には垂涎の峰だ。長距離列車でひとたび街を出ると、なだらかな草原の丘が広がっている。羊飼いが馬の背に乗って草原を走っている。他方、北部のアスタナは近未来都市のような斬新な建物が建ち並ぶこの国の首都。


独裁国家だとか、石油やガスなどの天然資源に恵まれて裕福な国・・旅の下調べをしていると様々な情報がでて来て、どうなることかとハラハラした(笑)しかし、実際に訪れてみると通貨のレートも安定している。生活水準は高いが物価が高いわけでもない。主要外国語がロシア語という点を除けば、設備は西洋のスタンダードなので快適。旅に苦痛は伴わない。(あの苦痛が一種旅の醍醐味なのだけれど・・)旧ソ連によくある官憲国家でもなかった。


遊牧民の大らかな文化なのかな?アルマトイを含む南部はシルクロード上にあるはずだけど、カザフスタンって長い歴史を引きずってる感じがない。歴史と文化で旅人を魅了する南隣のウズベキスタンとはずいぶん印象が違う。隣国同士「名前は似ているけど全く別の系統」というのはあくまでも僕の導き出した結論。



2018年6月記



今日の一枚
” ロシア風の列車 ” カザフスタン 2017年




fumikatz osada photographie