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アリゾナホテル


アリゾナ州は僕が好んで訪れた州のひとつだ。ツーソンの街の中に「コングレス」という名のホテルがあって、その中の小さなバーとディスコは地元の人たちの溜まり場になっていた。


24歳、若き日の僕はバーテンダーに薦められるがままにテキーラをゴクリッ。調子づいてすっかり酔っ払ってしまった。千鳥足で自分の部屋に戻る。


窓を乗り越えると、そこは客室で囲まれた屋根の上の中庭のようになっていた。僕は大の字に寝そべる。アリゾナの乾いた夜空には無数の星が散りばめられていて、涼しくなった砂漠の風が心地良く頬を撫でた。僕はそのままくるくると眠りに落ちていった。


朝になれば再び華氏100度の日が昇ってくる。


2005年5月記



今日の一枚
” アリゾナホテル ” アメリカ・アリゾナ州ツーソン 1989年




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